大手メーカーの高性能断熱窓が出そろいましたね。
いよいよ本当の意味での省エネ住宅が実現できる時代に入りました。これで室内の温熱環境がかなり良くなると思います。
ところで、樹脂窓と呼ばれている窓の正式な名称はPVC(polyvinyl chloride)で日本ではポリ塩化ビニル(塩ビ)と呼ばれています。
専門的になりますが、ポリ塩化ビニルは塩素と石油から出来るエチレンを反応させて出来る塩化ビニルモノマー(CH2=CHCl)を付加重合させて合成されます。実はそのままでは固くてもろく、しかも紫外線で劣化しやすいと言う欠点があります。そこで柔らかくするための可塑剤や劣化を防ぐ安定剤などを混ぜ合わせることによって、色々な用途に使えるように加工されています。
ポリ塩化ビニルは窓以外にも、衣類、壁紙、バッグ、インテリア(クッション材、断熱材、防音材、保護材として)、縄跳び用などのロープ、電線被覆(絶縁材)、防虫網(網戸など)、包装材料、水道パイプ、建築材料、農業用資材(農ビ)、レコード盤、消しゴムなど多数利用されています。意外と身の回りに沢山あることに驚かれるのではないでしょうか。
また、その成分も意外な面をもっています。塩ビは塩素とエチレンを混ぜてつくるので、その成分の半分以上(約6割)は塩なんです!なめると塩の味がするかも[:ぎょ:]
でも絶対になめないで下さい!子供の頃に遊んだソフトビニール(ソフビ)のおもちゃについて、乳幼児が口に接触することをその本質とするおもちやには、フタル酸ジ(2-エチルヘキシル)あるいはフタル酸ジイソノニルを含有する塩ビを使用してはならないと指定されています。
ポリ塩化ビニルの長所は、
1.断熱性に優れている(熱伝導率はアルミの1/1000)。
2.耐候性に優れている。
3.耐衝撃性に優れている。
4.難燃性に優れている。
5.加工性等に優れている。
など、様々なメリットがあります。他にも製造時に使うエネルギーがアルミの1/2〜1/3と環境に優しいのも特徴です。
逆に短所は、
1.低温時の衝撃強度が低い。
2.常用耐熱温度が60℃〜80℃と低い。
3.溶融時の粘度が高く、大型の射出成型に向かない。
ことであり、一般的な特性として塩素を含むため、焼却するとダイオキシンが発生すること、また可塑剤のフタル酸エステルが環境ホルモンとされているなど、環境問題の視点からは様々な問題があるとも指摘されています。
このように、一般的に樹脂窓と呼ばれている製品はポリ塩化ビニルで出来ており、総合的に見ると断熱窓に適した素材と言えます。
ただし、短所もありますので使い方や補強も考えて行く必要がありますね。
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