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ある不動産会社の方が、最近の借主さんがあまりにも情けないと嘆いていました。ネジひとつ真面にしめることが出来ない人が増えていて、自分でも出来そうなことでもすぐに問い合わせが来るそうです。そしてネジ一つでも業者を呼んで対応せざるを得ない状況だということでした。どうも物を大切にする心が失われているようですね。
物を大切にしないのはなぜ?
最初はしっかり締めたネジでも、使っていくうちに緩んだりすることはよくあることです。鍋の蓋についている取っ手など使っているうちに緩くなってくるので、ドライバーを使って締め直すのが普通だと思っていました。
ところが、最近はそうではないようです。まだ使えそうなものが簡単に捨てられていることも多く、不動産を管理している方に最近の賃貸事情を伺ったところとんでもない実態が見えてきました。話をまとめると、
- 掃除しないのは当たり前
- 少しでもガタついてきたら業者を呼ぶ(当然、大家さん持ち)
- 最低限のメンテナンスもしないのでエアコンなどがよく壊れる
- だから、入居者に対して条件が厳しくなっている
と言う感じです。
例えば、エアコンの掃除をしないのでドレン管が詰まりエアコンの吹き出し口から水が垂れてきたり、レンジフードの掃除をしないのでキッチンの壁には油汚れがこびり付き、室内に生活臭が染み込んでしまう。そんな物件が増えているといいます。当然大家さんは、次の方のために汚れや臭いを落としたいのですが、その原状回復費用を請求できないのが現実です。そうすると、次の借り手に対する条件を厳しくするか家賃を上げるしかありません。結果として、ちゃんとしている借り手にとっても、あまりいい状況ではなくなってしまいます。
原状回復とは、どこまで要求されるの?
では、原状回復はどこまで要求(請求)されるのでしょうか。
その基本となる国土交通省が定めた原状回復ガイドラインによると、
原状回復について、裁判所は①建物の通常損耗分をもとの状態に回復することではなく②賃借人の故意・過失等による劣化の回復を意味するとの判断を示してきました。つまり、借りた当初の状態に戻すことが原状回復ではないと言うことです。建物の経年劣化や賃借人の通常使用に基づく損耗は、普通に生活していれば当然起こるものであるため、賃借人の原状回復義務には当たりません。
とあります。
大家さん側が家賃の中からメンテナンス費用や補修費用を捻出することは当然でありますが、前提となる『通常の住まい方』に関して、以前とは大きく違ってきているのではないかと感じます。通常の住まい方とは、日常的に掃除することであり、人様からお借りしたものは丁寧に扱うことが通常と思っていましたが、そうではないようですね。
借りたものは借りた時以上にきれいにして返す
小さい頃、両親から口すっぱく言われていたことは『借りたものは借りた時以上にきれいにして返すんだよ』ということでした。それは、物を大切にする以前に貸してくれた人への感謝の気持ちをしっかりと表すことに他なりません。丁寧に扱いきれいにして返すことでお互いが気持ちよく過ごすことができます。住まいについても同じで、持ち家だろうと借家だろうと丁寧に扱い大切にすることで、次の人に気持ちよく引き渡すことができるし、ありがたく受け取ることができます。
しかしながら、いくら丁寧に扱っていたとしても経年劣化で傷むこともあります。ちょっとした不注意で破損することもあります。そんな時こそ補修をしたり修理をしてあげることが大切なんです。すると、不思議なことに完全な状態の時よりもその何倍も愛着が湧いてきます。そして、もっと大切にしようとする気持ちが生まれてくるのです。これは物に限った話ではなく、人に対しても同じことが言えると思います。
自分の役割は、次の世代に引き継ぐこと
いま手元にあるものは、たまたま自分の手元にあるだけで、いつかは手放さなければなりません。いま手元にないものでも、他人から引き継がれてくるものもあります。それが新しいものであれ古いものであれそれは一時的なものです。その一時的に自分の手元にあるものを大切にすることで、次の世代に引き継ぐことができるのです。
私は古い食器やコーヒーミルを少し多めに所有していますが、どれも飾るために持っているのではなくて、日常で使ってるものがほとんどです。使うことでその良さを知り、使うことでその状態を知ることができます。そしてその良さをわかる人を育て引き継いでいくことが大切だと考えます。それは、人を育てることにつながるので、これからも物を大切にする心を数多く育んでいきたいと思います。
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