目次
たくさんの想いの詰まった理想の住まい。キレイな状態がいつまでも続くと思っていたのに、気がつけば至るところが痛んでいる。はじめは小さな綻びだったのに『そのうちにやればいいや』と思っていたら取り返しのつかないことに。住まいのメンテナンスの必要性についてお伝えします。
自動車には車検があるけど、住まいにはないの⁈
自動車をお持ちの方はご存知の通り、2年ごとに車検があります(商業車などは1年ごとです)。車検では、安全な走行ができるようにいくつもの点検項目が決められています。車検の時期になると『どれくらいの費用がかかるかな?』と心配になります。
面倒な車検ですが、車検を受けることによって日頃気づかなかった問題点が早期に発見できるので、事故や故障を未然に防具ことができます。必要に応じて部品の交換やオイルの交換する事で常に最高のコンディションを維持することができるので、とても大切な事です。
車検を受けなければ刑事告発!
『今ちゃんと走れてるから、車検なんて受けなくてもいいよ』と思っている人がいたらどうでしょうか。突然ブレーキが効かなくなったり、エンジンが止まってしまったら大きな事故につながります。
実際、車検を受けていなかったわけではありませんが、走行中にトレーラーのタイヤが外れて、お子さんが死亡した痛ましい事故もありましたね。こうならないようにする為にも最低限のメンテナンス(車検)を受けることが必要になります。
もしも、自動車が車検切れになっているとしたら、どうなると思いますか?実は、国土交通省では「車検切れ」の自動車が走行していないかを監視しています。そして車検切れの自動車を見つけた場合は持ち主に車検を受けるように命令し、応じなければ刑事告発されます。
さらに、車検を受けていない自動車で事故を起こした場合は、基本的に保険は使えませんので多額の費用が必要になることは言うまでもありません。
車検はあくまで確認のため。日常点検が必要です
車検を受けたら次の車検までメンテナンスフリーなのかと言うと、そうではありません。車検証の裏には次のようなことが書かれています。
皆さんも、運転免許証を取ったときには運行前点検もしくは日常点検を行うことを習ったと思いますが、たぶん洗車くらいで終わらせているんじゃないでしょうか。でも、なんとか安全に運転できているのは、車検により最低限のことができているからです。
住みはじめたら住まいに検査はありません!
住まいについて、検査があるのは住まいの引き渡しまでに行われるだけで、住みはじめてからの検査はありません。唯一あるとすれば点検です。住まいには国が定めた瑕疵担保履行法により10年間の保証制度があるのですが、定期点検を義務付けているものではありません。
※瑕疵担保責任とは
契約の目的物に瑕疵(欠陥)があった場合に、これを補修したり、瑕疵によって生じた損害を賠償したりする責任のことをいいます。
『保証がついてるから』といって日頃のお手入れを怠っていると、初めは小さな綻びでも取り返しのつかない損傷となる場合がありますし、何より大切にしている住まいが長持ちしなくなる原因となります。保証がついているのからといって、住まいの傷みや劣化を防ぐわけではないので注意が必要です。
良い住まいとは
そもそも良い住まいとはどんな家なのでしょうか?
良い設計を行ない、良い材料を使えば良い住まいが出来るのでしょうか?
一般に、住まいには約10万点の部品が使われていると言われています。この大量の部品を使って家をつくっているわけですが、この数は自動車の部品数2万点を遥かに超える部品点数となっていて、その施工には細心の注意が必要となるのは、想像に難くありません。
自動車のチェック項目は500箇所以上
最近の自動車はコンピューター制御されていて、なんでもコンピューターがやってくれて、放っておいても問題がないように感じます。このように進化した自動車であっても、たった1本のネジが足りなかっただけでも大事故に繋がります。
現在の自動車の製造工程は、複雑な構造と大量の部品により、そのほとんどを自動化されたラインで行われています。しかしながら、完全に自動化されているわけではなくて、肝心な部分は専用の検査マシンと人の手により組み立て確認が取られています。こうして完成した車は、なんと500箇所以上の様々なチェックが行われ出荷されていきます。
さらに、引き渡した後には定期的な検査(車検や12ヶ月点検)が行われ、油を注し、錆び止めを塗り、役目の終わった部品は交換するなどして、長持ちさせるために手入れを怠りません。
住宅の部品点数右は車の5倍!
自動車の5倍の部品点数にして、100年持たせようと考えられている現代の住宅。何か特別なことが行われているのでしょうか。プレハブ住宅など一部の住宅は工場による組立・加工が行われていますが、そのほとんどは現場による手作業で行われています。
そして、住宅の検査体制といえば、住宅瑕疵担保履行法により義務付けられている第3者機関による検査(施工途中に行われる中間検査の一回だけ)が一般的ではないでしょうか?(もちろん住宅会社ごとに自主検査しているところもありますが)この検査を通っているのだから施工には間違いないというのでは、少々不安が残ります。
この検査というのは、住宅のなかでも特に重要な部分である構造耐力上主要な部分および雨水の浸入を防止する部分の検査であり、建物全体の検査をしているわけではありません。自動車で言ったらボディとガラスがついてるだけの状態を検査したようなもの。まっすぐ走るのか、正しく止まるのか、きちんと曲がるのかは見ていない状態なのです。
それこそ10万点にも及ぶ部品が正しく取り付けられているかを判断するのは、とても難しい事です。釘の種類や間隔、打ち方についても規定があります。30坪くらいの住宅なら外側の壁(地震に耐えるためにとても大切な構造壁)を取り付けるだけで3000本くらいの釘を使うので、そのチェックは困難なものと容易に想像できます。
約2万点の部品で構成される自動車ですら500以上のチェック項目があるのですから、10万点にも及ぶ住宅の場合はさらに多くのチェックが必要でしょう。
日常点検は住まい手の役割
住まいは、日常の点検とメンテナンスで安全性と快適性を維持することができます。それは毎日のお掃除に始まり、設備や器具類のチェックと調整などご自身でできることがほとんどです。お手入れも何もしていないのに、簡単に『壊れた』と言って捨てたりするのは壊れたんではなくて、壊したと言ってもいいと思います。
住まいに設置されている設備機器類や家電製品に付属している取扱説明書には、使い方やお手入れの仕方と言った最低限やって欲しいことが記されています。でも、この取扱説明書をきちんと読んで使い始める方はどれくらいいるでしょうか。家電量販店では、延長保証10年などと言った長期保証を売りにしていますが、壊れたら保証で直せばいい(交換すればいい)という考え方は、現在のエコロジーという考え方とは少し離れていると感じます。
ていねいに扱い日頃からの手入れを行うことで物を大事にすることから住まいのメンテナンスははじまります。
メンテナンスに必要なのは建てた時の正しい図面
メンテナンスに必要なのは、完成した時の図面です。契約時に交わした図面であっても、建設中に軽微な変更など行われている可能性があります。また、大きな変更を伴った場合は、柱の位置や寸法なども変わっていることがありますので注意が必要です。
もしも図面が見つからない時は、建設会社にお願いして入手してください。時間が経つと入手困難となる場合がありますので、なるべく早めの方がいいですよ。
定期的な点検を受ける
住まいを長持ちさせるためにも、定期的な点検を受けてください。自動車には2年に1回の車検があるように、人生の2/3を過ごす住まいだからこそ積極的なメンテナンスが必要なんです。そして、大事なことは設計者(設計事務所)か建設会社の点検を受けることです。
建物の構造や工法は多種多様であるので、誰もがその構造を理解しているわけではありません。その構造や工法について知識を持たない方が検査した場合、問題を見過ごす事になりかねません。逆に問題がないのに、あたかも欠陥があるような話をして、高額なリフォームを迫る業者もいますのでご注意ください。
ある工務店様においては、定期点検に営業マンではなく大工さんや棟梁が伺うところがあります。何度か定期点検に同行させていただいた事があるのですが、お客様が不安に思っている事に対して的確なアドバイスを行なっている姿は、とても気持ちがいいものでした。もちろんお客様との関係も良好で、まるで親戚のような付き合い方だったのが印象的です。
まとめ
住まいを長くいい状態で維持するためには、日頃からお手入れすることが大切です。ひとつひとつの製品が正しく動作することを確認し、その製品本来の機能が発揮される状態を維持することです。それは汚れひとつにしても同じで『後で拭けばいいや』と思っていても、拭き取った時にはシミになっていたりするものです。そのためにも、日頃のお手入れを励行し、ていねいな暮らしを心掛けましょう。
問合せ先:株式会社Green Bridge(グリーンブリッジ)→問い合わせフォーム
住まいや暮らしに関する情報を、メディアやセミナーを通じてお伝えしております。ユーザー様向けのセミナーや企業様向けの講演など各地で行っております。住まいを通じて、お客様に寄り添う、ていねいな暮らしのコンサルタントとしてお客様の快適な住まいと心地よい暮らしをサポートいたします!
株式会社Green Bridge →問い合わせフォーム TEL03-3791-1585
住まいの専門サイトHOUZZでユーザーの家づくりをサポート記事を連載しています。→こちら
運営する暮らしのサロンのセミナーの先行予約もいち早くご案内!
ぜひメールマガジンにご登録ください。