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SDGsの目標である2030年までに持続可能な社会の実現ですが、このままだと実現できないと考えられます。その理由はいたって簡単で、地球を汚す行為をやめないからです。今回は、日本をダメにしているごみ問題について考えてみようと思います。
そのごみ、本当にごみですか?
日本の食品ロスは640万トンと世界でもっとも食べ物を無駄にしている国の一つです。一人当たりで考えると年間51kgも捨てている事になります。世界でみると13億トンとなり、食料として生産されたものの実に3分の1を捨てている事になります。
そもそも食料自給率の低い我が国において、このような状況を見過ごす訳にはいきません。食料を輸入するのにもエネルギーは使われるし、まして食料を廃棄するにあたっては莫大なエネルギーを使って処分しているのだから。
日本には、世界の70%のごみ焼却場がある!
日本のごみ処理について見て見ましょう。現在、日本全国には1103のごみ焼却施設がありますが、これは世界中のごみ焼却施設の70%を占めており突出しています。資源がない我が国において、何をそんなに捨てる必要があるのでしょうか。いかにモノや食べ物を粗末にするようになったのか、こんな点からも見ることができます。ゴミの処理方法においても、日本のガラパゴス化を感じますね。
日本のごみ問題
日本のごみ問題について詳しく見て見ましょう。日本で一年間に出されるゴミの量は4289万トンで東京ドーム115杯分にもなります。一人1日あたり920gとかなりの量を捨てています。確かにゴミの回収日に出されているごみの山を見ると納得がいきますね。そして、これらのゴミのほとんどが焼却場に送られ燃やされる事になるのです。
先ほど日本全国に1103のごみ焼却場があることをお伝えしましたが、ごみは燃やせばなくなる訳ではありません。燃やした後に残った灰や不燃物は最終処分場(埋立場)に捨てられます。その量はごみの総量の約10%を占めていて、その処分場はあと20年で一杯になるとされています。
その他にも、ゴミを収集し運ぶために使うガソリンやゴミを燃やす時に使うエネルギー、様々な洗浄に使う水など大きな設備と莫大なエネルギーを必要としています。特に問題なのはCO2の排出量の多さ。年間600万トンものCO2を排出しています。さらにゴミの処分費も年間約2兆円と高く、しかも年々増加しています。
ゴミを捨てるということはコストもエネルギーも大量に使うので、日本の肥大化した財政と地球温暖化防止を迫られている現代において避けては通れない課題となっています。
参考:ゴミ処理の流れ
本物の食物連鎖
江戸時代の東京は、世界一クリーンな街と言われていたようです。17世紀の半ばごろには下水網が完備され、屎尿(し尿)は汲み取り式にされており下水に流すことはありませんでした。特に屎(大便)は農家にとっては貴重な肥料と考えられていたので、金や野菜と引き換えに取引されていたそうです。このように無駄のない食の循環ができていた江戸の町は相当な人口を抱えていたにも関わらず、食料問題も衛生問題も起きずに平和な社会を長く続けられたと言われています。
一方で、その当時のヨーロッパにおいては、し尿は下水や排水溝を使うか路上に垂れ流すのが当たり前だったため、疫病が流行ったと言われています。面白い話があるのですが、路上で用を足せるように女性のスカートは大きく膨らんだものが好まれ、排泄物を間違って踏むことがないように、ハイヒールを吐くようになったと言われています。
土壌と土
一般的に土と言われているものは、岩と生き物(バクテリアや植物など)から出来ています。岩は長年の間に砕かれ石になり、さらに細かい砂となっていきます。でも、そこに生き物がなければただの砂(鉱物)であり、植物が育つことはありません。土になるためには必ず生き物が必要になります。石や砂にバクテリアや苔などが付着したり、植物や動物の死骸が付着して次第に土になっていくのです。
では、土壌と土の違いは何かというと学術的には明確な違いはないようです。多くの場合、土壌とは植物をはじめとする生物を養い、物質の保持や循環などの機能を持つものとされています。その逆が土ということになります。
また、文字の意味から考えてみると『土』は土地の神を祀るために柱状に固めた土のことを指し、『壌』は柔らかく肥えた耕作に適した土地のこととされています。同じ土でも土壌を作らなければ、栄養のある農作物は取れないということが分かりますね。
ゴミを黄金に変えるすごいプラント
どうやれば土壌が作れるのかなのですが、現在の農業では土に化学肥料や農薬を使うことで人工的に土壌を作っています。江戸時代は屎尿を利用して堆肥(本物の土壌)を作っていましたが、どうして行われなくなったのでしょうか。色々な理由はあると思いますが、人口増加に伴う作物の生産量をアップするために化学肥料が使われるようになったことと、下水処理場やゴミ焼却施設が整ったことにより、今までのように堆肥を作ることが出来なくなったからだと思われます。
燃やせばゴミ、活かせば土
要らなくなったらすぐにゴミにするのが当たり前の日本ですが、以前は『もったいない』の精神で、全てのものを大切にしてきました。劣化したり壊れたりした物を処分するのは必要なのですが、全てを燃やして灰にしてしまうのは、資源の少ない日本としてはもったいないことです。要らなくなったものは自然に戻してあげれば、沢山のバクテリアによって分解され堆肥として再生されるのを知らないのは、もったいない事です。
自然界には沢山のバクテリアがいて、そのバクテリアが有機性廃棄物を発酵・分解します。生ゴミや脱水汚泥などはほとんどが分解されます。このバクテリアが沢山集まる環境をつくることで、自然とゴミは土に還るのです。
発酵の力でゴミを金に変える
自然界には数百〜数千万種のバクテリアがいると考えられていますが、その存在が確認されているものは1万種程度しかありません。また、人間の体内には5000種3800兆個ものバクテリアがいると考えられています。人間は植物性のものから動物性のものまでありとあらゆるものを体内に取り入れており、そこからエネルギーを作り出しているわけです。体内に取り入れた食べ物は、腸内のバクテリアによって分解され、その残渣が排泄物として体外に排出されます。
この腸内の仕組みを活用した、ゴミを自然の力で土に還す仕組みこそ『ハザカプラント』の有機廃棄物処理です。
体内にいる5000種3800兆個のバクテリアは、自然界にいるバクテリアのうち体内に必要なものが自然と集まってきたものです。同じように、自然界にいる数百万〜数千万のバクテリアの力を借りれば、もっと大きな仕事ができるということで、このプラントではバクテリアを添加することもなく、24時間365日ゴミが分解処理されているのです。
ゴミの分解・還元の流れ
ゴミ焼却場に行くと生ゴミなどのとても嫌な匂いがしますが、ここハザカプラントでは土が放つ自然の香りしかしません。プラント自体は、幅3メートル・深さ2メートル・長さ100メートルのとてもシンプルなものです。そこに、ゴミを堆肥と混ぜて発酵槽に投入すれば25日間で処理する事ができます。江戸時代は堆肥に変えるのに5年もかかっていたのですから、それを25日に短縮するとは驚きです。
発酵槽に投入されたゴミはすぐにバクテリアによって分解されはじめ、熱が発生し始めます。この時の温度は最大で90度程度まで上がり、プラント内には湯気が立ちこめます。
有機廃棄物はバクテリアのエサとなるので、エサ(バクテリアにとっての養分)が少なくなると途端に温度が下がるので栄養分(有機廃棄物)を追加したり撹拌したりしながら効率よくボミを分解していきます。
最終的に、有用なバクテリアがたくさんいる堆肥となって生まれ変わります。
子供達は生で食べてもおいしいと喜んでくれています
『7年前から兵庫県大屋のハザカプラントで製造された堆肥を使用しています。できた野菜は生協などに出荷しています。学校給食センターにはボランティアで出荷していまして、子供達は「生で食べてもおいしい」と喜んでくれています。』ハザカプラントHPより。
バクテリアが豊富で栄養価の高い堆肥を使って育てられた農作物は、大変美味しいと評判のようです。筆者もリンゴをいただいてみましたが、雑味が少なくとても爽やかな味がしました。また、農業1年目の方がこの堆肥を使って農業を始めたところ大成功を収めたそうです。周りの農家の方からは、「農業の初心者がやっても無理だ」とか「堆肥なんか使っても上手くいかないよ」と言われていたそうですが、今ではその堆肥を分けてくれと言われているそうです。
本物の循環型社会の実現
生活していく上でゴミが出るのは仕方のない事ですが、そのゴミを無駄なエネルギーとコストをかけて処分することは、自然界の循環をストップすることになります。いままでの「ゴミは燃やすもの」「ゴミは埋めるもの」という考えを捨てて、ゴミは大切な土を作るための大切な資源として活用していきたいですね。
世界最速でゴミを金に変える会社はこちら →県南衛生工業
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