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香害(こうがい)という言葉をご存知ですか?
誰もが嫌がるようなニオイはもちろんのこと、本人はいい香りだと思っているけど、周りにとっては迷惑な香りもあります。香りに含まれている化学成分の影響で、せっかくのお天気なのに窓を閉じっぱなしにしている人もたくさんいるんですよ。
香害について知ることとからはじめましょう。
香害(こうがい)とは
香害(こうがい)は、香水や人工的な香りのついた洗濯洗剤・柔軟剤などに含まれる香り成分が原因で、不快感を感じたり、頭痛やアレルギー反応などの症状がでることで健康に害を受けることをいいます。
そもそも香りの感じ方は個人差が大きいので、同じ香りでもある人にとってはよい香りと感じるし、他の人にとっては不快な香りとなることがあります。また、不快感だけでなく、咳・頭痛・喘息・吐き気などの症状を発する例もあるので、一概にこの症状が出たら香害だというものでもありません。
この香り成分は空気中に漂うため、日常の至るところで受動的に曝露することになり、いわば香り成分による公害であることから「公害」をもじって「香害」と呼ばれるようになりました。その発生要因として考えられているのが、香水や洗濯するときに使う香りが強く残る柔軟剤などです。
嫌なニオイをまき散らさないために良かれと思ってやっていることが、まさかの健康被害を起こしているとは!このまま放置しているわけには行きません。
香害の主な症状は、頭痛、吐き気、めまい、味覚障害など様々で、日常生活に大きな障害となっています。しかも自分が気をつけていても、周りからの影響が非常に強いので、自覚症状が出たとしても対応するのが難しいのです。
隣の家からの柔軟剤の匂いで。。。
日本消費者連盟は、近年、芳香柔軟剤、消臭スプレー、制汗剤など、人工の強い香料が原因で体調を壊し、日常生活を送れなくなる人が増えていることか、2017年7月26日と8月1日の2日間、香りの害に苦しむ人からの相談窓口「香害110番」を開設し213件の相談を受け付けました。以下に相談内容の一部をご紹介します。
相談内容(香害110番より)
- 家の窓を開けると、隣の家に干している衣服から柔軟剤のにおいがして、頭痛が長時間続いた。
- 電車やエレベーターに乗ると、隣の人の衣服から柔軟剤のにおいがしてせきが止まらなくなった。
- 衣料品の洗濯の時に香りの強い柔軟剤を使ったら、中学生の娘の顔以外全身に湿疹が出た。(10代)
- 職場で使用してる衣類用合成洗剤の匂いで息がつまり、のどが腫れた。(30代)
- 隣戸の洗濯用洗浄剤と思われる匂いが自室に入り、頭痛がして耐えられない。洗濯物にも匂いがつく。
- どうすれば匂いを防げるか。(50代)
- 柔軟剤を使用したら、匂いが強すぎて何度洗い直しても取れない。無理して着てみたら頭が痛くなった。(60代)
洗濯は周りに対する配慮が必要
そして、特に多かったのが隣の洗濯物の香りによる被害。マンションでは、お隣からの匂いで体調を崩し管理人さんに言っても取り入ってもらえなかったり、せっかく石鹸成分の洗剤やマグネシウム(洗濯マグちゃん)などで香料を使わない洗濯をしているのに、お隣の柔軟剤の香りが移って困っているなど、自分だけでは解決できないところまで進んできています。
子供達を守れ!
また、最近増えてきたのが体操着や道着などの香害。これは深刻です❗️汗をかいた衣服から嫌な匂いがするからと言って、柔軟剤や芳香剤をたっぷりとつけてくる人が増えているようです。冒頭にお伝えしたように自分が平気な香りでも、周りの人にとっては嫌なこともありますし、まして化学物質に敏感な人にとってはとても辛いことなんです。
最近の道場では柔軟剤の使用を禁止するところも出てきていますが、何度も通知が送られてくるところを見ると改善されてはいないようです。周りにも配慮することはとても大切なことなんですが、無関心な人が多いんですね。
香害に苦しんでいる人は、相談するにも誰に相談していいか分からず、耳鼻科へ行っても精神科へ行きなさいと言われたとか、コインランドリーから流れて来る柔軟剤の匂いがひどい、職場の同僚の衣類の強い香りや香水が苦しく退職に追い込まれた例が報告されるなど、問題は深刻で急を要します❗️
香害の原因
2014年、静岡県環境衛生科学研究所は、柔軟剤の香り成分の含有量、使用量の変化に伴うタオルへの香り成分残存量と香りの強さに関する商品テストを実施しました。その結果、柔軟剤の香り成分には海外の化粧品に関する法令でアレルギー物質として表示が義務付けられている成分や、揮発性有機化合物(VOC)である成分が多数使用されていることが判明しました。
国内の柔軟仕上げ剤はどうなの?
国内で市販されている高残香性衣料用柔軟仕上げ剤20製品を対象として、それぞれの製品から抽出した揮発性の成分を評価したところ、そのうち18製品から問題が見つかりました。(詳しく述べると侵害受容器(刺激を電気信号に変える変換器)であるTRPイオンチャネルの一種TRPA1の活性化を対照群の2倍以上引き起こすことが明らかとなりました)柔軟仕上げ剤中の香料成分が気道過敏性の亢進を引き起こす可能性が示唆されました。※この痛みは、侵害受容性痛といって健常な組織を傷害するか、その危険性を持つ侵害刺激が加わったために生じます。
なお、現在では、そのTRPA1の活性化が、炎症や疼痛の発生、呼吸器症状や循環器症状および神経毒性に関与することが、近年の研究により明らかになってきています。
香りがいつまでも続くのはなぜ?
最近の柔軟剤の謳い文句は臭いがいつまでも続くことを強調していますね。筆者自身も最近の柔軟剤のニオイは、少しキツイなぁと思っていましたが、調べてみると以前に比べてニオイの成分を強めたり、また、長時間ニオイが続くように特殊なカプセルに包むことで繊維に長く止まるようにしているようです。このカプセルは一度衣服に付くとカプセルが割れるまでいつまでも止まるようになっていて、洗濯しても効果は落ちないそうです。つまり洗濯するたびにニオイの成分が増えていくので臭いが強烈になるんですね。これには驚きました❗️
ニオイを別のニオイで誤魔化しても解決しないどころか、逆に迷惑をかけることになります。それよりも、ニオイ原因とその元を断つことを心がけて見た方が良さそうです。
匂いはカラダにも残る
気づいている方もいるかと思いますが、匂いの成分は衣服やシーツや布団などを介してカラダにも付着し匂いを発します。この匂いを体臭と間違うこともあるそうで、加齢臭だと思っていたら洗剤と汗の混じった匂いだったということもありますのでお気をつけください。
この後詳しく説明してますが、お風呂に入ったくらいではこの匂いは取れませんので注意が必要です。洗剤の匂いとボディーソープの匂いが混じると本当に変な匂いになりますよ!
洗濯を見直す
洗濯方法も大きく様変わりしましたね。20年くらい前までは2層式が主流でしたが10年くらい前からドラム式が主流になっています。節約志向の強い人にはドラム式の節水能力の高さで購入を決めた方も多いと思います。
それに合わせて、使用する洗剤も変わりました。以前は石けんを使って洗濯していた人も多かったのですが、今では合成洗剤が大半を占めています。使用する水の量が少ないので、繊維に染み込んだ汚れや脂分を取るために界面活性剤を多用した合成洗剤を使用する必要に迫られたからです。
洗濯用洗剤の匂いの相談件数
洗濯用洗剤の匂いでお困りの方がたくさんいらっしゃいます。ただ匂いが嫌だとか香りがきつい程度ならいいのですが、日常生活にお困りの方がたくさんいらっしゃるのが問題なんです。
2013年は日本消費者センターで相談会を行ったので突出していますが、相談件数は年々増加しており、直近では数年前の数倍の相談が寄せられています。
※グラフはシャボン玉石けんより
洗濯の方法を考える
今の洗濯機は全自動になっているので、色々な選択コースがありますね。でも、どれも洗い方(水流とかつけおきの時間とか)に変化をつけているだけで、洗剤の能力に頼っているに他なりません。香害を発生させないためにも、汚れや匂いの種類によって選択の方法を使い分ける必要があります。
匂いの原因と対策
そもそも香料を使うのは選択の臭いが残るのが原因。その匂いの元はモラクセラ菌という菌で、カラダにも常駐してるしテーブルにも布団にも下着にもどこにでもいる菌なんです。この菌が分裂して増える時に悪臭を放つのです。
そして驚くことに、このモラクセラ菌というのは洗濯したくらいじゃ死滅しません。だから嫌な臭いがするからと言って香り付きの柔軟剤を使っている人が多いのではないでしょうか。匂いの元を断たなければ解決しない問題なんですよ。
モラクセラ菌を除菌する方法はズバリお湯
モラクセラ菌に限らず、多くの菌を除菌するのに有効なのがお湯です。ではどれくらいの温度が良いのでしょうか。概ね60度以上の温水であれば菌は死滅することがわかっています。
50度 … 薄い雑菌を確認
55度 … 薄い雑菌を確認
60度 … 細菌がほとんど死滅
65度 … 細菌がほとんど死滅
70度 … 細菌が死滅
この表にあるように、洗濯において60度以上の温度であれば良いことがわかりますね。よく、お風呂の残り湯で洗濯をするご家庭もあるかと思いますが、ほとんど除菌には貢献していませんのでご注意ください。
洗濯機を変える
スーパーやドラッグストアに行くと、商品棚には香り成分を強調した洗剤が所狭しと並べてありますね。びっくりするとともに、やはりこの匂いは気になってしまいます。できれば、そんなことをしなくても汚れも匂いも取れる洗濯機が欲しいところです。
各メーカーは汚れ落ちの良さを競っていますが、どれも不十分だから多くの人が洗剤に頼っているのが現状です。(この負のスパイラル、メーカーの人わかってるのかな?)メーカーによっては、香りを2倍に強化する洗濯機を発売しているところもありますが、香害問題に気が付いていないのでしょうね。(この匂いで困っている人が大勢いることをわかっていないとは。。。)
日本で手に入るものはないかと色々と探してみたところ、海外製のもので熱水による匂いや除菌に対応しているものがありましたがやはり高い。それでネットでも探してみたところ、日本にも熱水に対応した製品を作っているところがありました。それが最大80℃の熱水で洗ってニオイ菌をやっつけるサンコーの洗濯機「ニオイウォッシュ」。サイズは小さめですが下着やシャツ、デニムなど色々と洗えて便利そうです。
筆者も早速購入して試してみました。そこで気になるニオイはというと、これまでに蓄積されてきた柔軟剤の香りもかなり薄らぎました❗️しかも、洗濯用石けんのみで洗っただけなのにふっくらと仕上がっています(^^)
熱水を作るので電気が心配になりますが、80度の熱水で洗濯した時でも1回あたり34円と経済的です。
肌にも周りにも優しい衣類で毎日が過ごせるなんて素敵ですね。
洗剤を変える
選択の方法を考えると言っても、今ある洗濯機を使い続ける場合は、香料の入っていないものや石鹸が主成分の安心の洗剤をお使いいただいた方がいいですね。もし香りづけしたいという方は天然の香料(ハーブ)やアロマオイルなどを少量お使いいただくと良いでしょう。
まとめ
香害の問題は、その影響が本人だけに止まらず周りにも及んでいることにあります。食べものをオーガニックにこだわるように、飲みものを天然水にこだわるように、素肌に直に触れるものもに気をつけましょう。
個別相談も承っております。お気軽にご相談ください。
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