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2015年9月の国連サミットで全会一致で採択されたSDGs。「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のため、2030年を年限とする17の国際目標が定められました。今回は、世界中に広がるSDGsを工務店が取り組むためのエッセンスをお届けします。
SDGsとは何?
SGDsに取り組もうとすると、どうしても17の目標に目がいってしまいますが、何を成し遂げるのかその目的をしっかりと理解しておく必要があります。そこでSDGsに取り組むことで実現させるべき5つのことについて説明します。
- 人間について
- 我々は、あらゆる形態及び側面において貧困と飢餓に終止符を打ち、すべての人間が尊厳と平等の下に、そして健康な環境の下に、その持てる潜在能力を発揮することができることを確保することを決意する。
- 地球環境について
- 我々は、地球が現在及び将来の世代の需要を支えることができるように、持続可能な消費及び生産、天然資源の持続可能な管理並びに気候変動に関する緊急の行動をとることを含めて、地球を破壊から守ることを決意する。
- 繁栄について
- 我々は、すべての人間が豊かで満たされた生活を享受することができること、また、経済的、社会的及び技術的な進歩が自然との調和のうちに生じることを確保することを決意する。
- 平和について
- 我々は、恐怖及び暴力から自由であり、平和的、公正かつ包摂的な社会を育んでいくことを決意する。平和なくしては持続可能な開発はあり得ず、持続可能な開発なくして平和もあり得ない。
- パートナーシップについて
- 我々は、強化された地球規模の連帯の精神に基づき、最も貧しく最も脆弱な人々の必要に特別の焦点をあて、全ての国、全てのステークホルダー及び全ての人の参加を得て、再活性化された「持続可能な開発のためのグローバル・パートナーシップ」を通じてこのアジェンダを実施するに必要とされる手段を動員することを決意する。
この5つのことについてしっかり理解しておく必要があります。これらを踏まえた上で、SDGsに取り組んでいきましょう。
誰一人取り残さない
SDGsの最大の目的は、誰一人取り残さない社会の実現です。お客様の要望に沿って家づくりすることはもちろん大事ですが、家づくりに関わる全てのステークホルダー(利害関係者)についても最大限の配慮をする必要があります。それは資材の供給源からお客様の近隣の方に対しても検討する必要があるので、ここはしっかりと把握しておきましょう。
SDGsに取組むメリット
上記を踏まえて、SDGsに取組むメリットはどこにあるのでしょうか。ただ単に『SDGsやってます!』(冷やし中華始めましたみたいなノリ)くらいであれば、17のゴールから出来そうなものを選んで取り組めばいいと思いますが、SGDsは2030年に持続可能な社会の実現を目標とし、しかも誰一人取り残さない社会の実現でもある訳ですから、しっかりと準備をして取組む必要があります。従って、社員全員の参加が必要であり、協力業者の方々さらにはお施主様や地域の方々との協力も必要になってきます。
こうなると、SDGsに取組むメリットはなんなのかという話になりますが、大きくは以下の4点になります。
- 将来のビジネスチャンスの見極め
- 持続可能な開発への貢献による企業価値の向上
- ステークホルダーとの関係強化、新たな政策展開との歩調合わせ
- 社会と市場の安定化
どれも大切なことであり大変大きなメリットがあることですが、特に企業価値の向上とステークホルダーとの関係強化については、SDGsという考えを利用することでこれまで以上により深い理解の上で成り立っていくので、積極的な参加をお勧めします。
ステークホルダーの理解
ステークホルダーとは聞き慣れない言葉ですが、日本語的には利害関係者と考えてよいでしょう。ただし、損得だけの利害関係者ではなくてお互いを補い合えるようなそんな関係です。
例えば、建物だけを見ても森から始まって住宅になるまでにも様々なステークホルダーが存在し、さらに解体するときにも再利用されたり廃棄されたりと様々なステークホルダーが存在するので、この大きな流れを掴んでおくことが大切です。工務店として意外と見落としがちなのが、建てた家をどの様に仕舞うかという部分です。製品によっては『廃棄』という一点張りしかないものもあるので注意が必要です。この流れを意識すると使うべき材料などの検討がしやすくなりますよ。
また、ステークホルダーとゴールの関係については、SDGsウェディングケーキモデルがわかりやすいので、こちらを参考にするといいでしょう。生態系の上に社会が成り立っていて、その上で経済活動が行われている概念図です。そこには17の『パートナーシップで目標達成』という芯が通っていて、全てのステークホルダーとの関係性を考える必要があることが分かります。
図には工務店が取り組みやすい項目について丸で囲ってありますので、これらから検討してみるといいですよ。
課題の決め方
工務店の仕事の領域を考えると、SDGsの17のゴールはほぼ全てのが当てはまるので、とかく全部をやりたがりがちです。『結局SDGsをやりたかっただけ?』にならない様に、会社として取り組めるゴールを設定しなければなりません。そこでポイントとなるのが、会社の理念やビジョンから外れていないかというところ。SDGsに取り組み始めると『ボランティア的発想』に陥りがちになります。これが悪いわけではありませんが、ゴール8に『働きがいも経済成長も』とあるように、しっかりと会社の成長を考えていかなければなりません(逆にあまりにも会社の都合に合わせたゴールの設定もNGです)。そこで必要なのが、
- 会社の経営理念
- ビジョン
- 自社の課題
を明確にしておくことです。もしも、経営理念やビジョンが定まっていない(もしくは変えたい)のであれば、この機会に見直すのもいいでしょう。SDGsの考えを周到して、全てのステークホルダーへの貢献を考えてみるのもいいと思います。
SDGsへ取り組むためのステップ
我が社もSGDsへ取り組もうと、いきなり17のゴールから考え始めるのも良いのですが、折角なので自社のこれまでの取り組みや課題についてしっかり見直し、SDGs的な発想で課題解決を目指しましょう。そのためには、ある程度の知識と社員や協力者との意思統一、そして実行計画と多くのステップを踏む必要があります。大まかな流れは以下の通りで、この流れに沿って進めていくとスムーズに進められます。
もちろん、アジェンダは2030年に達成することを念頭に進めていきますが、アクションプログラムの実践に至までの期間は大凡3ヶ月くらい見ておいたほうがいいです。ただし、ファシリテーターとなる方がいる場合であって、そうでなければ半年くらいかかると考えたほうが良いと思います。
工務店SDGsは、全員参加が基本
様々な場面でよく陥りがちなのが、担当者を決めて丸投げで進めるパターン。期間限定の小さなプロジェクトならこれでも構いませんが、10年スパンのプロジェクトとなるとそうは行きません。全員が参加し、全員で決め、全員で実行することが必要になります。そして、何より大切なのは各個人レベルの実践です。例えばプラスチック製品を減らす目標を立てたとしても、会社の中にはペットボトルがいっぱいというところが沢山ありますよね。それでは表向きのSDGsであって、2030年のSDGs本来のゴールには届きません。全てのステークホルダーとの関係を考えたとき、その行為が社会や環境にどのような影響を与えるのかもしっかりと考える必要があります。
ひとり一人の行動が目標の達成に繋がりますので、自分ごととして積極的に参加していきましょう。
SDGsに取り組みたい方はこちら:→問い合わせフォーム
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