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『子供向けマニキュアからホルムアルデヒド検出』
新聞に衝撃的な記事が出ました。そもそもホルムアルデヒドは化粧品に使っていけない成分であり、その他の分野においても厳しい制限がされているのものです。身近に使用されているホルムアルデヒドについて考えてみましょう。
健康に影響する13の化学物質
ホルムアルデヒドの人体への影響は世界的にも広く知られているので、多くの分野で使用が制限されています。
例えば、厚生労働省では、建物の新築時において以下に示した13物質をシックハウス対策の指針濃度として公表しています。この指針数値(濃度)は、現時点で入手可能な毒性に係わる科学的知見から、ヒトがその濃度の空気を一生にわたって摂取しても、健康への有害な影響は受けないであろうと判断される値を計算したものです。この指針濃度は、最新の知見によって変更される可能性がありますので、動向に注目したいところです。
今回、マニキュアから検出されたホルムアルデヒドの濃度は20〜70PPMという高濃度でした。マニキュアなので使用量が少ないことから、空気に含まれる(揮発される)濃度としては問題ないとしているようですが、皮膚に直接触れるものなので、健康に問題が起きないか心配なところです。
- ホルムアルデヒド(0.08 PPM)
- アセトアルデヒド(0.03 PPM)
- トルエン(0.07 PPM)
- キシレン(0.20 PPM)
- エチルベンゼン(0.88 PPM)
- スチレン(0.05 PPM)
- パラジクロロベンゼン(0.04 PPM)
- テラダカン(0.04 PPM)
- クロピリホス(0.07 ppb)※小児の場合(0.007 PPB)
- フェノブカルブ(3.8 PPB)
- ダイアジノン(0.02 PPB)
- フタル酸ジ-N-ブチル(0.02 PPM)
- フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(7.6 PPB)
化粧品は肌に直接使うから規制も厳しい
化粧品基準では、総則の中で『化粧品の原料は、それに含有される不純物等も含め、感染のおそれがある物を含む等その使用によって保健衛生上の危険を生じるおそれがある物であってはならない。』とされています。
そして、危険を生じる恐れがあるものとして、ホルムアルデヒド(ホルマリンはホルムアルデヒドの水溶液のことです)の使用を禁止しています。
ホルムアルデヒドは、これほどにも厳しく規制されている化学物質なんです。
ホルムアルデヒドの問題点
ホルムアルデヒドの有害性について、厚生労働省では「特定化学物質障害予防規則」として、その危険性と製造過程での安全指針、使用法等を指示しています。
- 発ガン性(グループ1)
- ヒトに対して発ガン性あり
- 感作成(アレルギー)
- 気道感作性第2群(ヒトに対しておそらく感作性あり)
- 呼吸器感作性第1群(ヒトに対して感作性あり)
- その他の人体への影響
- 皮膚を刺激し硬化させ、ひび割れ、潰瘍を生ずる。上記は目を刺激し、涙がでる。
- 吸入すると、粘膜が刺激されてせきが出る。
- 慢性症状として肝臓・腎臓の障害が起こる。
このように、皮膚、粘膜、臓器とヒトへの影響は大きく、適正な使用が求められています。
また、作業空間のホルムアルデヒド濃度は0.1PPM以下とシックハウス対策の環境指針とほぼ同一のレベルで管理されており6ヶ月に1回の測定が義務付けられています。さらに作業者に対しては6ヶ月ごとの健康診断が義務付けられています。
つまり、管理を徹底しなければならない化学物質の一つなんですよ。
建物内でどれくらい発生しているの?
これまで述べて来たように、ホルムアルデヒドはヒトに対してかなり有害であることがわかります。取り扱い業種については徹底した薬品管理と健康診断による健康管理、それから室内環境の濃度測定と行われておりますが、家庭内はというと測定されていないことがほとんどで、その実態すらつかめていません。
できれば定期的に家庭内の化学物質濃度を測定したほうがいいのですが、かなりの時間と費用がかかるため現実的ではありません。でも、見えないからといって放置しておくのは問題です。できる限り化学物質を使わない材料や素材を選ぶことが、自分や家族を守る最大のポイントです。
ホルムアルデヒドが使われている場所
ホルムアルデヒドは、様々な場所で使われています。建築資材においては壁紙や合板、接着剤など、みなさんが着ている洋服やそれを保管するタンスやクローゼットにも使われています。
こんなにも身近な化学物質なので、製品を選ぶ際にはどれくらい含まれているかチェックしたほうがいいですね。
赤ちゃんや子供に注意!
「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(有害物質規制法)はホルムアルデヒドの樹脂加工及び有機水銀化合物等の抗菌加工等について、以下のものについて規制しています。
- 繊維製品のうち、おしめ、おしめカバー、よだれ掛け、下着、寝衣、手袋、くつした、中衣、外衣、帽子、寝具であって生後24ヶ月以下の乳幼児用のもの
- 繊維製品のうち、下着、寝衣、手袋、くつした、及びたび、かつら、つけまつげ、つけひげ又はくつしたどめに使用される接着剤
ホルムアルデヒドは家具から移染する!
生後24ヶ月以下の乳幼児の衣類については、ホルムアルデヒドが検出されないこととなっていますので購入・着用・保管には注意が必要です。また、ホルムアルデヒドの問題は、その製品に含まれているものばかりではなくて、他から成分が移り汚染されることが多々あるからです。
せっかくホルムアルデヒドの使用されていないオムツや肌着を使っていても、タンスに含まれるホルムアルデヒドによって汚染されることがありますので、家具の見直しが必要になることがあります。
家具には規制がない‼︎

東京都福祉局 タンスからの移染
実は、家具にはホルムアルデヒドの規制がないので、多くのメーカーで使われているのが実情です。東京都がタンスやウッドカーペットからのホルムアルデヒド放散について調査したところ、住宅建材で規制されている量よりはるかに高い濃度が検出されました。
添付のグラフは、ホルムアルデヒドに汚染されていない靴下とマフラーを、一般のタンスとベビーダンスに入れた後に測定されたホルムアルデヒドの濃度ですが、共に基準値を大幅に超えています。
子供を体に優しい衣類で守ってあげたいと思っていても、それを保管するタンスで問題が起きるなんて悲しいですよね。タンスを購入する際には、製品に使用されている化学物質について教えてもらうといいですよ。
残念ですが、答えてくれないメーカーもあります
筆者は、いくつかのメーカーに問い合わせてみたのですが、明確な回答を出してくれたのは数社で、あるメーカーに関しては具体的な数値はおろか車内の基準すら教えてもらえませんでした。このようなメーカーの製品の使用は控えたほうが良さそうですね。こういった場合は、できれば無垢のタンスなどを使用したほうがいいですよ。
まとめ
今回のように、消費者側が気をつけていてもホルムアルデヒドを含め人体に影響を及ぼす恐れのある成分が含まれることがあります。日頃から安全な製品を選ぶ癖をつけることで、自分やご家族の健康を守ってください。特に、赤ちゃんや小さなお子様は大人よりも敏感に反応すると言われていますので、大人の方が守ってあげてくださいね。
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