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いよいよ冬本番!マスクをしている人の姿も多くなりましたね。いくら健康に気をつけていても、なぜか体調を崩しやすいこの季節。住まいの中にいることがその原因かもしれません。
室内の空気はキレイ?
外ではマスクをつけるけど、家の中では外している人が多いですよね。それは、建物の中は空気がキレイだと思っているからだと思いますが、本当にそうでしょうか。確かに、家庭でもオフフィスでも空気清浄機が設置されいて、空気はキレイになったイメージがあります。ニオイについても換気装置や各種消臭剤のおかげ(?)で嫌なニオイも少なくなりました。でも、これだけキレイにしたつもりでもなぜかインフルエンザなど病気になる人が後を絶ちません。どうしてなのでしょうか。
部屋を暖めるとウィルスが増える⁈
冬はとても寒くて空気が乾燥しますよね。例えば、東京の12月〜2月の平均気温は5.9℃で湿度は56%です。さすがに5.9℃のままでは寒すぎるので室内を暖房しますが、外の空気をそのまま暖めると、室内の湿度はなんと20%まで低下します。だから、建物内が乾燥していると感じてしますんですね。
この乾燥した空気環境は、インフルエンザなどのウィルスにとって活動しやすい環境で、マウントサイナイ医科大学の研究によると、気温が20℃で湿度が20%〜35%のときに非常に高い伝染率(75~100%)を示しました。逆に湿度50%においては非常に低い伝染率(25%)という結果となり、さらに湿度65%では再び感染効率が上昇し(75%)、湿度を80%まで上げるとインフルエンザの伝染は確認されませんでした。
つまり、室内の湿度を適度にコントロールしないと、外にいるよりも健康を害するリスクが高まるということです。
外出先で人が多い場所に行く際には、マスクを着用しましょう。 インフルエンザは飛沫感染と言われており、咳、くしゃみ、せきに付着しているウイルスを、口や鼻腔から体内に入れることによって感染します。また、インフルエンザにかかった場合は、他の人に拡散させないためにも、患者はもちろんのこと周囲の人もマスクの着用や手洗いを励行することが効果的です。
それから、接触感染による感染も多いので注意が必要です。接触感染対策で、もっとも効果があると言われているのが手洗いです。インフルエンザウイルスが付着したものを手で触れると、口や鼻、目、肌などを介してインフルエンザに感染することがあります。例えば、咳やくしゃみをした時に口を手で押さえますが、その手を洗わずに何かに触れた場合(電車であれば手すりやつり革)、そこにはウィルスが残っていますので、次に触れた人に接触感染が起きる可能性がありますので、こまめな手洗いが必要になります。
部屋を暖めるとカビが生える‼︎
加湿をせずに部屋を暖めると、湿度が下がってインフルエンザの伝染率が上がります。そのために温度を上げると同時に湿度を上げる必要があります。湿度が50%くらいに上がるとインフルエンザ対策の効果は高まるのですが、加湿しすぎると新たな問題が生じます。それが『結露』『カビ』『ダニ』です。
結露とは、空気に含まれる水分がこれ以上気体として存在できなくなった時に起こる現象で、空気の温度が下がると結露しやすくなります。例えば、冬に窓ガラスが曇ったり氷の入ったコップの周りに水滴がつくことがありますが、これが結露です。図は室温と湿度の関係を表したものですが、室温が25度で湿度50%の状態だととても快適な空間になりますが、窓ガラスなど断熱性能の低い部分は温度が低いので、簡単に結露してしまいます。ここに問題があるのです。
カビの発生しやすい場所
カビの発生しやすい場所は、
- 床下
- 畳の裏やカーペットの裏
- 押し入れやクローゼット、玄関収納の中
- カーテンの裏
- 窓
- お風呂場や洗面脱衣室
など、空気がこもりやすく湿気が多い場所に発生します。
カビが生えるとダニも発生する!
カビの発生とともに増えるのがダニです。家の中には、ヒョウヒダニ(チリダニ)類・コナダニ類・ツメダニ類が生息しています。ダニの増殖速度はとても早いので、掃除機をかけたくらいではいなくなることはありません。ダニは卵から成虫になるのに約2週間〜1ヶ月、成虫は約2週間〜1ヶ月で死んでしまいます。その間に500個前後の卵を産み増殖させていきます。
現在の住宅は冬でも暖かく、乾燥しやすいので加湿する必要があります。前にも述べたように、空気が乾燥しているとインフルエンザのリスクが高まるので適切な加湿が必要です。
ヒトが快適な環境は、ダニの住みやすい環境でもあります。ダニは以下のような条件の時増殖します。
- 室温20℃〜30℃
- 湿度60%以上
つまり、加湿しすぎるとダニの快適な環境になります。
ダニの発生しやすい場所
カビの生える場所にはダニも潜んでいます。カビもダニも生息に必要な温度と湿度の条件がほぼ同じなので注意が必要です。
- 布団やベッドや枕
- 絨毯やカーペットや畳
- ホコリ
- ソファー
1gのホコリの中にダニは何匹いる?
気がつけばテレビの後ろやテーブルの下にはホコリがいっぱいということは良くありますよね。でも『あとで掃除すればいいや』というのは危険です。たった1gのホコリの中には約1000匹のダニがいます。さらに畳1枚の中には数万引きのダニがいると言われているので注意が必要です。昔は、畳替えをしたり定期的に畳を干したりしてカビやダニの発生を抑えていたのですが、最近ではほとんどのご家庭で畳を干すこともなくなったのではないでしょうか。洋間の暮らしが増えてきていますが、今でも新築住宅には和室がつきものなので、健康を考えるとこまめに掃除をしたほうがいいですね。
ダニはアレルゲン物質
アレルギーにも色々とありますが、気管支喘息や通年性アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の原因の一つとなっているのがダニとそのフンや死骸です。
ダニの大きさは0.2mm~0.56mmなので、そのままでは呼吸器に入り込むことはありませんが、ダニのフンは0.01mm~0.04mmととても小さく、さらに死骸も含め粉々になることで0.001mm~0.002mmと小さくなり、人間の呼吸器にも入り込んでしまいます。とても恐ろしいですね。
ダニのえさは、人間のフケ、アカ、汗、皮膚、髪の毛、ペットの毛などです。毎日のお掃除を怠ると、死骸やフンは増え続け、アレルギーを起こす可能性がありますので日頃のお掃除をしっかりやりましょう。
ダニは一生のうちに約500個のフンを残すと言われていますので、1gのホコリの中に1000匹のダニがいるとすると50万個ものフンが作られていることになります!これではアレルギー症状が出るのもわかる気がしますね。
本来、住まいは安全な場所!
ヒトが快適に暮らせる空気環境は
- 室温18℃〜28℃
- 湿度40%〜60%
とされています。この範囲内であれば、ほとんどの人が快適だと感じることができます。一方で、ウィルスの生息する環境は20度以下で乾燥していることが条件になり、カビやダニについては高温多湿を好むので、ヒトの生活圏とは違うということがわかります。
つまり、自分のいる空気環境を整えることが健康に繋がります。しかしながら体感で温度と湿度を細かく見ることはできませんので、温湿度計を利用して、ヒトに最適な空気環境を整えてください。
まとめ
住まいは、そこに住む人の健康を守る場所でなければなりません。そのためにも温度と湿度をコントロールして理想的な環境をつくることが大切です。人が暮らしやすい空間は、本来はカビやウィルスが住みづらい空間なのですが、実際はそうでないことが多いのです。
日頃のお手入れと温度と湿度を適切にコントロールすることで、健康的な暮らしができます。自分のため、家族のためにも暮らしの環境を整えていきましょう。
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